2013年、「Why Finnish babies sleep in cardboard boxes(フィンランドの赤ちゃんが段ボール箱で寝る理由)」という題目で、BBCニュースに取り上げられたフィンランドの育児パッケージ。
フィンランドの育児パッケージ(maternity package)って何?
1930年代のフィンランドは貧しい国で、乳幼児死亡率が高く、1,000人の赤ちゃんのうち65人が死亡していたそうです。 しかし、その後の数十年間で急速に改善されました。その時代背景の一つに数えられるのが政府によるフィンランドの母親への育児パッケージの配布でした。
フィンランド語でäitiyspakkaus(アイティユスパッカウス)と呼ばれています。
1938年から、フィンランド政府は育児パッケージäitiyspakkaus(アイティユスパッカウス)の配布を開始しました。
1949年からは、出生前の健康診断を受けたフィンランドのすべての母親に育児パッケージが提供されるようになりました。
画像出典 BBC NEWS(http://www.bbc.com/news/magazine-22751415)
これまで75年の間(2013年当時)、フィンランド待望の母親(妊婦さん)には州によって箱を与えられました。 服、シーツ、おもちゃ、そしてベッドにもなるというそれらはまるで育児のスターターキットのようです。 フィンランドが世界最低の乳幼児死亡率に良い結果をもたらしたとの意見もあります。
画像出典 BBC NEWS(http://www.bbc.com/news/magazine-22751415)
現在はすでに80年以上歴史を刻んだマタニティーパッケージ(マタニティボックス)によって救われた命があると言っても過言ではないようです。
国を挙げて、赤ちゃんの誕生を祝い、産後のサポート体制も整っているフィンランド。
フィンランドの子育て支援制度であるネウボラをご存知の方も多いはず。
ネウボラとは...
妊娠・出産・育児期に貧富の差に関わらず全ての家庭が利用できるフィンランドの出産育児サポート支援。
妊娠がわかったとき、最初に産婦人科にかかる日本。フィンランドの女性たちはまずネウボラに足を運ぶそうです。
妊娠中は定期的に妊婦健診も受けることが出来、しかも受診は無料。
出産したその日からは、産まれた子供の定期検診や予防接種が受けられる「子供ネウボラ」もスタートします。
つまり妊娠がわかったときからその子供が就学するまでを一貫したかかりつけ助産師さんや保健師さんが担当してくれるのです。
日本では産後赤ちゃんと母親の1ヶ月検診や母乳外来は出産した産婦人科で受診しますけど、その後は赤ちゃんにとってのかかりつけの小児科を探します。保健師さんが自宅訪問に来たりはするけれど1回だけですし、担当はよく変わってしまうので相談も躊躇してしまう。
我が子は現在、身体測定も歯科健診も保育園で定期的に受けていて、何かあった時はその都度かかりつけの耳鼻科や皮膚科や歯科にも通っているので、市の検診なんかも何のために行くのかと疑問に思いながらも義務的にを受けています。
毎回違う担当者で、はっきり言って愛着は無いですし、流れ作業で、皆ピリピリしているし、集団検診の時間帯は昼過ぎで、ちょうど子供の昼寝の時間にあたるので不機嫌マックスなです。これはないよな〜といつもいつも思うんですよね。「なんで午前中にやらないんだろうね」とママたちとボヤいています。
日本国内で、ネウボラのようなシステムを取り入れようとする自治体があるっていうのを以前テレビで見ましたが、自分の住んでいる町が今すぐ変わる気はしませんし、安心して子供が産める子育て支援制度づくりを国を挙げて取り組んだフィンランドは賞賛されるのはうなずけますよね。
フィンランドの出産
「フィンランドの妊婦は世界一幸せ」とも言われています。
1930年代、マタニティパッケージは低所得者のみに配布を行っていたようです。
現在は所得制限は無く、フィンランド在住で妊婦健診を受けていれば誰もがもらえます。
出産祝い金140ユーロ(日本円にして約2万円弱)をもらうか、このマタニティパッケージをもらうかは選択ができるようになっているそうです。フィンランドの95%の女性達のこのマタニティパッケージを選ぶんだそうです。
1人目はマタニティパッケージ、二人目の出産の際は上の子のお下がりが使えるので、お祝い金を選択する方もいらっしゃるようです。
マタニティパッケージが人気の理由...
この箱の中には、生まれたばかりの赤ちゃんをお世話するためのキット...衣類、おくるみ、防寒着、寝具、爪切りやヘアブラシにおもちゃまでも、そしてその箱の中布団を敷けばベビーベッドに早変わりするという育児のスターターキットが全て詰まっているんです。なんとも細やかな気遣いと愛情満載の心強いパッケージ。この箱が一人一人の命を救って来たわけですからね。
- マットレス、マットレスカバー、アンダーシート、布団カバー、毛布、寝袋/掛け布団
- 箱自体はベビーベッドを兼ね備えている
- スノーシューズ、帽子、吸い込んだミトン、ブーティー
- 軽いフード付きのスーツとニットのオーバーオール
- ソックス、ミトン、ニット帽、バラクラバ
- ボディスーツ、ロンパースーツ、レギンス、ユニセックスの色とパターン
- フード付きバスタオル、ネイルハサミ、ヘアブラシ、歯ブラシ、バス温度計、おむつクリーム、洗面器
- 布製のおむつセットとモスリンの四角
- 絵本と歯ブラシのおもちゃ
- ブラジャー、コンドーム
画像出典 BBC NEWS(http://www.bbc.com/news/magazine-22751415)
実際の育児パッケージの中身はKela(フィンランドの社会保険庁)公式サイトで見ることが出来ます。中身がすごいです。時間があればチェックしてみてください。
Kelaの育児パッケージはフィンランド製品を使っているので、フィンランドの産業をも支えている構図になるはずだし。国内で持ちつ持たれつ良い関係が成り立っていると想像させるいい国。日本もそんな国であってほしいと切に思いながらも、海外の製品の斬新さに心を奪われてしまっています...いいものはいいんだからしょうがない。
フィニッシュ・ベイビー・ボックスとは?
フィンランドのマタニティパッケージを購入したい!という国外からの声に耳を傾けそのビジネスを立ち上げたのが…ヘルシンキに住む3人のパパ達でした。
(Anssi Okkonen, Anton Danielsen and Heikki Tiittanen)
育児パッケージを世界中の人にも届けよう!!!
3人のパパ達によって、フィンランド政府の育児パッケージと同じ様に産後必要な物を一つの箱に取り揃えた「FINNISH BABY BOX(フィニッシュ・ベビー・ボックス)」として商品化が実現したのでした。その人気は瞬く間に広がり...
今や世界各地で喜びの声があがっています。
「FINNISH BABY BOX フィニッシュ・ベイビー・ボックス」について詳しく書いた記事はこちら
一箱の価格は決して安価なものではないですが、中に入っている商品は高品質なもので、日本国内では入手困難なものばかり。ベビーベッドやベビー布団に代わるものまで含まれていることまで考慮すると単品購入よりもむしろ良心的な価格だといえます。
出産準備品として購入する方も増えています。
出産祝いにもらえたら、それはそれは嬉しいこと間違いなしでしょうね。